一次視覚野の神経細胞集団の情報表現について、2019年のNatureの論文がある。
論文:Stringer C, Pachitariu M, Steinmetz N, Carandini M, Harris KD. High-dimensional geometry of population responses in visual cortex. Nature. 2019 Jul;571(7765):361-365. doi: 10.1038/s41586-019-1346-5. Epub 2019 Jun 26. PMID: 31243367; PMCID: PMC6642054.

この研究では視覚刺激2800の画像に対する二光子イメーンジングで記録したニューロン約1万の反応に主成分分析(PCA)を適応した。 2800ある主成分の分散(固有値スペクトル)は定義から徐々に減少するが、その減少の傾向は指数が約1の冪乗則(power-law)に従うことが分かった。これは電気生理学データでも同様であった。

このような冪乗則はガボールモデルでは説明されず、 刺激画像の性質からも説明されなかった。

指数は情報表現の平滑さを表していて、1より低い値では細胞間の相関は低くより複雑で効率的な表現となる。 1より高い場合には細胞間の相関が高くより単純で頑強な表現となる。指数は1くらいがちょうどよいのだろう。

これが深層学習の情報表現にも応用されることが期待される。
その後、別の研究ではマカクザルのデータにも適応され、CNNとも比較された。
ロバストなCNNを開発するには画像の低周波な成分に反応させることが大切らしい。
論文:Kong NCL, Margalit E, Gardner JL, Norcia AM. Increasing neural network robustness improves match to macaque V1 eigenspectrum, spatial frequency preference and predictivity. PLoS Comput Biol. 2022 Jan 7;18(1):e1009739. doi: 10.1371/journal.pcbi.1009739. PMID: 34995280; PMCID: PMC8775238.